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過払い金返還請求訴訟の争点
取引の分断
貸金業者から長年借入れを続けていると,一度借金を完済して,しばらくしてまた借り直した,というケースがよくあります。
また,途中で契約書を作り直したという場合もあります。
この場合,貸金業者側は往々にして,「一度借金を完済した(あるいは,契約書を作り直した)時点で一旦取引は終了し,その後の取引とは別だ」と主張してくるのです。
貸金業者がこうした主張をしてくるのは,取引を2つに分けて計算すると,過払いの金額が低くなるからです。
さらに厄介なのは,この取引の「分断」が今から10年以上前だと,分断以前の取引は最終取引日から10年以上経過しているので,それまでに発生していた過払い金が,時効で消滅してしまうのです。
こうなると,過払いとなっている金額が大きく変わるどころか,下手をすると,借金が残ってしまうという場合もあります。
こうした場合は裁判で争うことになりますが,取引が分断されているかどうかは,取引がなかった期間の長さ,その前後で利率,限度額などに変化がなかったか,カードは同じものを使い続けていたか,一度完済した際に契約書が返還されたか,などが総合的に判断されることになります。
いずれにせよ,当事務所の弁護士は,最近の裁判の動向を見つつ,いかにこの分断を認めさせないかを研究しています。
取引の分断がありそうな場合,過払い請求は弁護士に依頼するのが得策と言えるでしょう。
過払い利息
貸金業者に対しては,過払い金に年5パーセントの利息を付けて請求します。
これは,法律上もらってはいけないものだと知りつつもらっていた人(法律用語で「悪意の受益者」と言います)は,年5パーセントの利息を付けて返しなさい,という規定が民法にあるからです。
貸金業者は,いわゆるグレーゾーン金利を,利息制限法上取ってはいけないと知りつつ取っていたのですから,悪意の受益者になるわけです。
これに対しては,ほとんど全ての貸金業者が争ってきます。
その主張は,「貸金業法で定められた通りにしていたから,当然,グレーゾーン金利の適用を受けられると信じていた」,「グレーゾーン金利を取っていたからと言って,監督官庁に指導されたことはなかった」といった具合です。
これまでの裁判の動向では,貸金業者側の主張が裁判で認められることもなくはありません。
大事なことは,年5パーセントの利息と言っても,取引期間が長かったり,完済してから長期間が経過したりしている場合は,過払いの金額が大きく変わってくることです。
貸金業者側の主張に対し,不十分な反論しかしていないと,痛い目を見かねません。
この他にも,貸金業者は,時には強引とも思える理屈をひねり出して,過払いの金額を少なくしようと抵抗してきます。
一方弁護士は,支払いを渋る貸金業者からいかに過払い金を回収するか,日々研究をしています。
弁護士費用がもったいないからとご自身での請求に踏み切る前に,専門家に相談されるのが良いかと思います。